2008年9月9日火曜日

三菱UFJフィナンシャル・グループ ストップ高

本日、MUFGが大量の買い注文を残したままストップ高になりました。私が株価をウォッチしている中で初めての出来事です。
他の銀行を見ても、みずほ、りそなはストップ高、SMBCはストップ高とまではいきませんでしたが、一時ストップ高を付けました。SMBCは株価の関係で騰落率はMUFGを越えています。



なんでかなと思い調べてみると、米政府が政府系住宅金融機関(GSE)2社を公的管理下に置いたため、金融不安が後退したという事の様です。



GSE債は総額5兆3,000億ドル発行されており、米国外の投資家が約40%を保有しています。
日本でも、2008年3月末時点でメガバンク3行で4.7兆円、保険大手4社で4兆円ものGSE債を保有しているという話もあり、下手したらこれらの債権が一気に評価損の対象となり莫大な金額の損失が計上される可能性があったわけです。今回の件で米政府がデフォルトしない限りは、債権の安全性は確保される事になりました。



ただし、米政府が保証したからと言って、GSEの債務がなくなるわけではありません。結局は、GSEの株主と債権者の潜在的な損失を米国全体で背負うだけです。ただでさえ景気後退局面に入っている米国がこれだけの潜在的損失を更に負う事になれば、米国景気のさらなる減速はやむを得ないと思います。
一方で、米政府が保証をしなければGSE2社はほぼ確実にデフォルトします。その場合、政府系の金融機関がデフォルトした事になりますので、米政府自体の信用が大きく毀損します。そうなれば、米国債を初めとした米国発の債務全てが大暴落し、その影響により米国は更に大きな損失を被り、米国経済はほぼ壊滅的な打撃を受ける事になります。
信用が低下したとしても一定以上の信用があるうちであれば、自国紙幣であるドルを刷る事でなんとか対処する事が出来ますので、そちらを選択したという事でしょう。



GSEの債務を保証してもしなくても、どちらの選択をとっても米政府に取っては苦渋の決断だと思います。そのような苦渋の決断を取らなければならなかったという状況が、現在の状況の深刻さを物語っています。



これによって、日本のメガバンクの損失が解消されたかと言えば、大きな危機は去ったけれど今後追加の損失計上を余儀なくされることは間違いないと思います。
というのは、過剰なドル増刷や信用の付与によるドルの下落や米政府の信用低下とそれに伴うリスクプレミアムの上昇による債権価格の下落が近いうちに起こるのではないかと思うからです。



今後のメガバンクの開示から目が離せませんね。



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