2014年8月14日木曜日

リーマンショックの時にaegifに起きたこと(中編)

前回のフジイメセン「リーマンショックの時にaegifに起きたこと(前編)」に引き続き、2008年のリーマンショック前後にaegifで起こったことと少しだけ私の事を書いてみたいと思います。 

最後の上り坂

2008年になっても絶好調は続きました。好調すぎて人員が足りずにみんなパンパンでPJTを行っています。4月以降順次新メンバが入ってくることは決まっていたので3ヶ月後のメンバ不足は緩和されるはずなのですが、とにかく目先の3ヶ月を乗り越えられるかが心配でした。

業績もうなぎのぼりでしたので、このまま1年たったら一体どれだけ儲かるんだろうとほくそ笑んでいました。来年の税金をきちんと支払えるのかなとか、各メンバにインセンティブをどれだけ出せるかなとか、年末の賞与(aegifの役員賞与は業績次第で年1回です)で何買おうかなとか、調子乗って六本木ヒルズレジデンスに引っ越しちゃったりしてなどなど、とにかくとらぬ狸の皮算用で完全に浮かれきっていました。

一方で4月1日から数名の新しいメンバが入ってくることが分かっていたため2月ぐらいから新規案件の提案やリソースリクエストへの応募をしていたのですがうまく決まりません。この頃から何となく世の中の潮目が変わってまずい事になりつつあるのではないかという雰囲気は感じていましたが、とにかく目先のPJTを何とかする事が第一優先でしたので気にする余裕はありませんでした。

そして、なんとか第1四半期(aegifは12月決算ですので第1四半期は1月〜3月になります)を乗り越えて無事4月を迎え、新メンバが数名入社しました。引き合いが減っていたり第1四半期に上手く案件が決まらなかった事による一抹の不安は覚えつつ、よーしこれでまたたくさん提案できるぞと張り切っていました。きっと、みんな第1四半期が忙しすぎて先の事が考えられないに違いないと無邪気に思っていました。

今から思えば当たり前の事なのですが大企業(aegifは大企業向けのITや経営のコンサルティングサービスがメインです)は3月決算の会社が多いので、予算の関係上、状況が変わるのは新年度に入った4月以降になります。そのため4月以降の案件が決まらないのは大企業が世の中の景況感を見て慎重になっている事が原因なのです。決して忙しすぎて先のことを考えられないからではありません。 

崖から転落

4月になっても新規の仕事が全く受注できません。少し減ったというレベルではなく、それこそ文字通り1つも新規の案件が受注できなくなってしまったのです。もちろん、前期から続いている仕事は引き続きやっていたので売上がゼロという事ではありませんが、継続していた仕事も順次ドンドン終わっていきます。正直あれ?あれれ?という感じで新規案件の失注や継続案件の終了の報告を日々受けていました。

一方で、人件費やオフィス家賃などの固定費は以前と比べて1.5倍になっておりこれから売上を上げないといけない時期です。これからという時なのに売上は上がるどころか崖から転げ落ちるように下がっていきました。実際に数字にはっきりと当時の状況が顕れています。2008年第1四半期は前年同期と比べて売上が3倍以上になっていたにも関わらず、第2四半期は第1四半期と比べて約半分です。

たった3ヶ月の間に売上が半分というのは普通に考えたら一発で死ねるレベルです。aegifはその時まだ3期目で蓄えなどはほとんどありません。むしろ、オフィス移転の敷金等で全部吐き出したあと固定費は1.5倍になっており資金調達しようにも時期が時期なだけに銀行や投資家などが資金を出せる状況ではないというわけです。しかも7月1日になればまた新メンバが何人か入社して固定費が増えます。

その後第3四半期に入っても状況は悪化する一方でした。売上は下がる一方、単月赤字の金額も毎月増えていきます。何ら回復の兆しなどなく、とにかく崖から転げ落ちるのをじっと見ていなければならない毎日でした。そしてついにその日が来ました。 

リーマン・ブラザーズ倒産

2008年9月15日。
リーマン・ブラザーズ倒産のニュースが世界を駆け巡りました。aegifはリーマン・ブラザーズの一つ下のフロアにオフィスを構えていましたので会社のメンバが報道関係者にリーマン関係者と間違えられてインタビューされそうになるという事もありました。aegifのメンバはラフな格好をしている事が多いので、リーマン関係者ではないというのもわかりそうなもんですが。とにかく、こんな近い場所でこんな事が起きるなんてaegifの未来を占っているようだなと思いました。

その後もaegifは順調に単月赤字を続けた結果、第3四半期終了時点で第1四半期で稼いだ利益を全て吐き出し、いよいよ10月も赤字であれば通期で赤字という状況まで追い込まれました。設立して間もないaegifには余力なんてのは全くありませんので通期で赤字=お金がない=倒産なわけです。

私も毎日朝起きるのもつらい、会社に行くのもつらい、生きているのもつらい、どこかに逃げてしまいたいという日々でした。毎日案件の失注と終了の事や会社の売上と赤字の事を考えると夜寝られません。やっと寝付けたとしても胃が痛くなって朝4時ぐらいに目が覚めてしまいます。さらに、布団から出るとつらい現実が待っているため布団からも中々出られませんでした。こういう状況が7ヶ月も続いて私自身精神的にかなり参っていました。

このままいったら会社は近いうちに潰れて、せっかくaegifに来てくれたメンバのキャリアに傷をつけてしまうと思うと本当に申し訳ない気持ちでした。メンバのほとんどは日本を代表するような大企業でのキャリアをなげうってaegifに参加してくれていたからです。

また、なんでこんなタイミングでリーマンショックが来るのか、なんで去年オフィス移転を決めてしまったのか、どこで間違えてしまったのかということを堂々巡りの様に毎日毎日考えていました。

リーマンショックの時にaegifに起きたこと(後編)」に続く...

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