2008年8月4日月曜日

法の支配

先日、細野祐二氏の著書である「法廷会計学vs粉飾決算」を読みました。
内容としては、細野氏が公表財務データ(有報やIR資料など)から財務的な分析を行った結果、粉飾を行っている可能性がある会社名、その根拠および財務データから推測されるその手口についてレポートしたものになっています。
また、その有報に対する監査の不適切性についても同時に触れています。



この本の事例の中で粉飾決算として罪が確定しているものは、日興コーディアルグループの事例です。これは、要は会計基準等を自分たちの都合の良いように曲解して適用して、不正な利益を計上したというものです。



この本を読んで、私は改めて思ったことがあります。



・法律や基準に書いてあるからと言って、全てのケースで適法なわけではない。



話はちょっと逸れますが、日本の憲法は法治主義(厳密には形式的法治主義)ではなく、法の支配という考え方を取っています。要は、法律が全て効果があるわけではなく、「正しい」法律だけ効果があるというわけです。ここで「正しい」というのは、例えば基本的人権を尊重する、といった事です。
であれば、同様に憲法に限らずどんな法律だって基準だって、「正しい」根拠があるはずです。「正しい」根拠は趣旨などに記載されたり、その時々で常識的に考えれば分かる事のはずです。
改めて法律や基準を解釈するときには、「正しい」根拠の存在を忘れないように気をつけます。



・何が「正しい」のかを忘れて、組織内の異常な常識や組織的・個人的欲望などを優先してしまう。



欲に目が眩んで自分達でも気付かぬうちに「正しい」が何なのかが分からなくなってしまう事が多分あるんでしょう。その結果、自分達の都合の良い方へ良い方へ言ってしまい、気がついたら「正しい」から大きく外れてしまいもう後には戻れず、突っ走ってしまう。最後は、当然の様に破滅が待っています。
本人達は途中までは、「正しい」つもりでやっているのでしょうから、怖い事です。
自分も、気をつけなければいけません。いつどこでそんな罠が仕掛けられているか分かりません。そもそも、経営者というのはこの様なリスクの発生頻度も影響度も多いので特に注意が必要なのは間違いありません。
「正しい」会社、「正しい」経営、「正しい」私、と毎日念じてみます。



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